10歳を過ぎたら、「老化」をできるだけ遅らせる努力を
筋肉の衰えや体重減少が目立つように
10歳を過ぎて本格的な高齢期を迎えると、「毛づやが悪くなる」「筋肉が衰えて、お腹が垂れ下がってくる」「瞬発力が衰え、あまり動かない」「口臭がする(歯周病や口内炎など)」「やせてくる」といった、さまざまな老化の兆しが出始めます。この時期には、食欲を維持し、筋肉や内臓の衰え、体重の減少を抑えることが求められます。
老化予防に不可欠なタンパク質だが、摂り過ぎにも注意を
猫は肉食なので、元々、犬よりも、多くのタンパク質や脂質を必要とします。高齢期になっても、筋肉や毛づや、内臓機能の維持のために、消化吸収のよい良質なタンパク質の十分な摂取は欠かせません。ただし、猫は高齢になると腎疾患にかかりやすく、タンパク質が多過ぎても腎臓に負担をかけるので、注意してください。
キャットフードも、以前は、シニア用は「7歳以上」で一括りにされていましたが、最近は、年齢からくる栄養課題や食べやすさにきめ細かく対応しようと、10歳を越えてからの「ハイシニア用」を別に設けるメーカーが(ハイシニア期をさらに2期に分けるところも)増えています。
それでも愛猫の食欲が進まないときには、フードを温めてにおいを立たせたり、ササミをゆでたスープをかけるなど、食欲をそそるひと工夫を。一度にたくさん食べられなくなることもあるので、食事を少しずつ何度にも分けて与える配慮なども大切です。
シニア猫の宿命ともいえる「慢性腎不全」に気をつけて
シニア猫の健康管理で、とくに注意が必要なのが「慢性腎不全」。10歳以上の猫の死因のトップを占めるほど多い病気です。
一番最初に気づく症状は、「多飲多尿」で、においのない薄い大量の尿で気づく飼い主さんが多いようです。治ることのない病気ですが、早期に発見し、適切な治療と日常のケアによって、長生きすることもできます。慢性腎不全の猫には、低タンパク質の食事と水を十分に飲ませることが必要です。
その他、甲状腺機能亢進症というホルモンの病気や、歯周病などの口内トラブルも増えてくるので、体調変化を見逃さないで。(編集部)
プロに聞く「10歳からのケア」のポイント!
7歳からの予防のケアをベースに、現れてくる個々のトラブルに効果的なサプリメントやケアをプラス。本格的な高齢期の対処法を、ホリスティックケア・カウンセラーの青根未佳さんがお答えします!
Q.消化機能の衰えに対処するには?
消化酵素を積極的に摂りましょう。酵素は熱に弱く、生の食材や発酵食品に多く含まれます。最も豊富なのは動物の膵臓ですが、腐りやすく食材として手に入りにくいため、フリーズドライしたものがサプリメントとして利用されています。発酵食品や、生の食材を与えるのもいいですが、野菜などが消化しにくい場合は、すりおろすなどの配慮を。
Q.足腰の老化対策は?
グルコサミンやコンドロイチンに加え、MSM(メチル・スルフォニル・メタン)に注目して。MSMは動物や植物の中に存在する天然のイオウ成分で、関節の痛みを和らげたり、軟骨成分であるコラーゲンの生成をサポートする働きがあります。コラーゲンの元になる成分のため、皮膚や被毛の健康にもいいですよ。
筋力の衰えを防ぐのに、マッサージも効果的。ただし、猫の場合は、無理に触らないこと。通りすがりにさっと撫でるだけでも違います。飼い主さんなら、そのコが一番気持ちのいいポイントがわかるはず。
Q.口内炎が痛そうで…
口内炎など猫に多いお口のトラブルに、とても効果があるのが銀イオンのケアサプリメント。高い抗菌作用があり、副作用のない天然の抗生物質として安心して使えます。
Q.今後は、認知症も心配です
日常生活のなかで、話しかけたりスキンシップをしたり、脳に刺激を与えるようにしましょう。オメガ3脂肪酸やイチョウの葉などのサプリメントも、脳の血流改善や活性化に有効です。
飼い主さんが心配しすぎると、愛猫も神経質になります。明るく楽天的に接することが、シニア・ケアの大切なポイントです。
【ケアについてお話を聞いた方】
青根未佳さん(ホリスティックケア・カウンセラー)
GREEN DOG 東京ミッドタウン チーフ・カウンセラーとして、豊富な知識を活かし、訪れるペットオーナーのみなさんのお悩みをサポート。
GREEN DOG http://www.green-dog.com/