「ペットフード安全法」とは、どんな法律なのか?
法律の概要
ペットフード安全法は、国が安全なペットフードのための製造基準、表示基準、成分規格を定め、事業者(製造業者・輸入業者・販売業者)がそれを遵守して製造・輸入・販売を行うことで、安全なペットフードの流通を守るしくみです。
それでは、具体的にはどんな内容なのでしょうか?
対象は、犬用・猫用フード
「愛がん動物」には、犬、猫、うさぎ、鳥などさまざまな動物が含まれますが、ペットフード安全法の対象となるのは、犬・猫が栄養を摂取することを目的としたものとなります。これは、流通している愛がん動物用飼料の9割以上が犬・猫用であるためです。スナック、ガム、サプリメント、ミネラルウォーター等も含まれます。犬・猫が口にするものであっても、猫草のように飲み込んだ毛とともに排泄されることを目的としたもの、香り付けや遊具として使用されるまたたび、おもちゃなど、栄養を摂取する目的ではない場合は、愛がん動物用飼料には含まれません。
有害な物質を含むペットフードの製造・輸入・販売の禁止
ペットの健康被害を防止する必要が認められたとき、国は有害な物質が含まれている、または含まれている恐れのあるペットフードの製造・輸入・販売を禁止することができます。
国が安全基準を設定します
国は、安全なペットフードのための基準・規格を設定でき、いかなる人もその基準に合わないペットフードを製造・輸入・販売することはできません。その基準・規格とは次のようなものです。
【製造基準】
- 有害な物質を含んでいたり、病原菌に汚染された原材料を使用してはならない。
- 加熱や乾燥する製品では、病原菌を繁殖させない方法で製造すること。
- 猫用のフードには、プロピレングリコールを使用してはならない。
(プロピレングリコールは水分を保持し食感を保つために使われる添加物で、麺やおにぎりなどに広く使用されていますが、猫に使用すると溶血性貧血を起こす恐れがあります)
【成分規格】
廃棄・回収を命じることも
ペットの健康被害を防止する必要が認められたとき、国は基準・規格に違反した、または有害な物質を含むペットフードの廃棄・回収等の措置を命じることができます。
事業者は、届出と帳簿記録の義務
ペットフードの製造または輸入を行う事業者は、事前に届出をしなければなりません。また、ペットフードの取り扱いをする事業者は、輸入・製造・販売の記録を帳簿に記載しなければなりません(小売の場合を除く)。
ペットフードの原材料から流通までの履歴を記載した帳簿記録は、リコールなどで製品の回収や廃棄が必要になったときに、対象となる製品を速やかに特定するために、大変重要な情報となります(トレーサビリティの確保)。
報告の徴収や立入検査も
国は法律の施行に必要な限度において、事業者に対して報告を求めたり、立入検査を実施します。
違反内容に応じて罰則
違反した場合は、その内容に応じて次のような罰則が科されます。
遵守のための監視体制
国または独立行政法人農林水産消費安全技術センター(以下FAMIC)は、基準・規格にあったペットフードが製造・輸入・販売されているかを、関係する業者への立入検査で確認します。この立入検査は無通告で行われ、サンプルの集取も行われます。試験した試料についての検査結果は、FAMICのホームページで見ることができます。
独立行政法人農林水産消費安全技術センター 立入検査結果公表ページ
http://www.famic.go.jp/ffis/pet/sub5_inspection.html
公表ページを見ると、毎月数種類の銘柄のペットフードが立入検査を受けているようです。検査結果をさかのぼって、お使いの銘柄の検査結果を確認してみるのもよいかもしれません。