ドッグ・スイミング&カヌー犬教室入門

2009年7月17日RSSRSS

【取材協力】

NPO法人名栗カヌー工房 理事長 山田直行さん、インストラクター 前野洋子さん
http://www.naguri-canoe.com/

泳ぎを覚えた愛犬と、のんびりゆったり「カヌー犬教室」へ

愛犬と一緒にカヌーで遊ぶには?

関越自動車道を「川越インターチェンジ」で降り、国道16号線・国道299号線をたどって飯能市へ。同市から県道70号線を入間川沿いに30分余り走ると、名栗湖の名で親しまれる有間ダムに至る。そのほとりにあるのが、手作りカヌーのメッカとして有名な名栗カヌー工房だ。

理事長の山田直行さんの本職は彫刻家。十数年前に移り住んだ名栗村で、彫刻のかたわら、地元特産の杉(西川材)を使ってカヌーを作り始め、注目を集めた。その後、国の補助事業に選ばれて村営カヌー工房を開設。国内最大のカヌー工房となった(現在NPO法人)。カヌー犬教室を始めたきっかけは6年前。工房で飼い始めた迷い犬のシェパード「ユキ」に泳ぎを教え、カヌー犬に育てたところ、テレビや雑誌で取り上げられ、評判を呼んだためだ。

カヌー犬教室では、最初、犬に泳ぎを教える。目標は、水面に落としたパドル(櫂)を拾ってこれることだが、とりあえず、泳げれば問題ない。「意外に泳げない犬が多いんですが(笑)、飼い主さんが一緒に水に入って遊んでくれれば、たいがいの犬は30分ぐらいで泳げるようになります」。犬の休息中、飼い主はカヌーレッスンを受ける。基本は、肩に力を入れない、漕ぐ時にパドルを立てる、カヌー内で立たない、パドルを離さないことなど。あとは回数を重ねて慣れるだけ。万一、沈しても、ライフジャケット着用なのでおぼれることはない。慌てず、岸まで泳ぐことだ。

どうにかカヌーに乗れるようになれば、愛犬を同乗させ、静かな名栗湖をのんびりと漕ぎ回ることができる。犬は、しばらく目が点になって震えていても、10分ぐらいで慣れるという。うまくなれば、カヌーから湖水にジャンプして、落としたパドルを拾ってこれるようになる。そうなれば、楽しいし、心強い。

カヌー遊び実践編!

山田さんは、インストラクターの前野洋子さんとウェットスーツに着替え、ユキともう1頭のゴールデン「ミカン」を連れて船着場に降り立った。ユキとミカンは交互に水に入り、気持ち良さそうに泳ぎ回り、湖面に投げられた木片を拾ってくる。水泳訓練が終わると、山田さんはカヌーにユキを乗せ、見事なパドルさばきで悠然と漕ぎ出した。音もなく湖面を進むカヌーを見ているだけで、日々の雑事に追われて弾力を失いがちな自分の心がほぐれていくような気がしてきた。

カヌーを停止させた山田さんが、木片を湖水に投げる。それまでおとなしくオスワリしていたユキが豪快に飛び込み、素早く泳いでくわえ、いそいそとカヌーに戻ってくる。何度も繰り返しているうちに、さすがのユキも疲れたのか、木片をくわえたまま、カヌーではなく、船着場の方に戻って来た。前野さんが木片を口から外そうとしても、歯をくいしばったまま。「最近、ほとんど泳いでなかったからバテたのかな」と、カヌーから降りた山田さん。この前来たピレネー犬など、泳ぎ過ぎてぐったりし、自分で上がれなくて、搬入用エレベーターで湖から上の工房まで運びました、とほほ笑んだ。

手作りカヌーで、さらに楽しさアップ!

工房のカヌー犬教室の受講生第1号という千葉県在住の藪上まさ子さんに話を聞いた。藪上さんは6年前、名栗湖周辺に愛犬と遊びに行き、偶然、始まったばかりのカヌー犬教室を知ったという。「うちのハイジはゴールデンなのに泳げなくて(笑)、一緒に泳げれば楽しいかなと思って。最初の訓練の時、半日ぐらいかかりましたが、泳げた時は感動しました」。その翌年、藪上さんは工房でのカヌー作りに挑戦。千葉県から1年半ほど通って無事完成。進水式には友人がやって来て、シャンパンをかけて祝ってくれた。

理事長の山田さんによれば、手作りカヌーは、実働20日間ぐらいで、誰でも完成できるとか。「世界にある乗り物のなかで、唯一、山からノコ(ギリ)で切り出した木で作る乗り物がウッドカヌーです。カヌーに乗っていると、自然と非常に近くなれる。この湖にはヤマセミという鳥がすんでいるんですが、カヌーを出すと攻撃してくることがある。人間とは思ってないんですね」

(初出:「よみうりペット」2004年7月20日発行号)

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