【取材協力】
ギグレース協会 http://www.gigrace.com/
人と犬が一体となって駆け抜ける「ギグレース」
サポーター、犬、操縦者が協力してゴールを目指す
ヘルメットに丈夫な靴、厚手の手袋、ひじ当てにひざ当てをつけたマッシャー(操縦者)が自転車にまたがり、「ゴー!(行け)」という掛け声とともに全力でペダルをこぐ。長いリードの先、ハーネスをつけた犬が、合図とともに半円形のコースを駆け始める。その先を、サポーターが犬の名前を連呼しながら走っていく。あっと言う間にゴールイン。人も犬も、晴々とした表情で、お互いの力走、健脚、奮闘をたたえ合う。神戸市のポートアイランドで行われた「りぶ・らぶ・あにまるずフェスティバル」でのギグレースの1コマである。
ギグレース協会事務局長の山城一男さんによれば、ギグレースの楽しさは、人と犬が一体となって、スピード感あふれる走りを満喫できること。「中には、『うちの犬がこんなに一生懸命走ってくれる』という思いで、涙を流しながらゴールしてくる人もいる。それに、後ろから走るマッシャーには分かりませんが、犬たちが、みんな、最高にうれしそうな表情でゴールめがけて駆けてくるんです」と語る。
ギグレースの公式戦は自転車に乗るマッシャーと犬だけのチーム編成だが、「初ギグ(50m)クラス」と「サブノービス(100m)クラス」は、犬のガイド役となるサポーターが前を走る、ほのぼのとしたファミリースポーツの味わいがある。もっとも最初は、人も犬も一緒に走る”呼吸”を合わせるのが少し難しい。
「散歩の時、犬は人の横を歩き、人より前に行くと”ダメ”ですよね。ですからスタートの時、自転車をこぐ力が弱いと、犬のほうが速過ぎてリードがピンと張り、犬は”止まれ”のサインと誤解して停止するんです」と山城さん。犬たちは走るのが楽しくてどんどん走る。それに遅れないように、人のほうが最初からトップスピードで自転車を走らせるのが上達のポイント、とのことである。