【取材協力】
トリマー 山口美紀さん
プロに学ぶ 愛犬・愛猫のブラッシング
グルーミングで最も大切なのは、日々の「ブラッシング」です。ブラッシングは、ムダ毛を取り、毛並みを整えるだけでなく、皮膚を刺激して新陳代謝を高めたり、汚れやノミ・ダニなどを取り除くという、健康維持に欠かせない作業でもあります。できれば、愛犬の散歩の後などに、毎日の習慣として行いたいものです。
また猫の場合は、自分で毛づくろいをするので犬ほどの手入れは必要ありませんが、長毛種や、短毛種でも換毛期にはこまめなブラッシングが欠かせません。
犬・猫の被毛の長さや質に合わせたブラシを選ぶ
中短毛種の犬の多くはダブルコート(硬い上毛と柔らかい下毛の二段構造)で、換毛期には下毛が生え替わり、大量の抜け毛に悩まされます。一方、長毛種の犬の多くはシングルコート(硬い上毛のみ)で、抜け毛は少ない代わりに、毛玉やもつれが出来やすく、手入れが大変です。グルーミングに使用するブラシやコームは、それぞれの被毛の長さや質に合った物を選びましょう。
愛犬・愛猫に最適なブラシの種類
中短毛種(スムース&ショートコート)のブラッシング方法
ブラッシングの基本は、毛流に沿って、前から後ろへ、上から下へと、流れるようにブラシを当てていくこと。それも体毛の表面をなでるのではなく、根元までしっかりブラッシングしてください。
スムースヘアのダックスフンドやビーグルなどの短毛種は、ラバーブラシや獣毛ブラシを使って、毛をとかすというよりも、地肌をマッサージするつもりで。
コーギーやハスキーなどの少し毛足の長いダブルコートの中短毛種は、ムダ毛や抜け毛を取るのに、ピンブラシやスリッカーブラシを使うと便利です。ただし、スリッカーブラシは、力の入れ具合と角度に気をつけないと、皮膚を傷つけやすいので注意してください。
長毛種(ロングコート)のブラッシング方法
長毛種は、ブラッシングが不足すると、すぐに毛のほつれや毛玉が出来るので、毎日、丁寧なブラッシングが必要です。
特に毛のほつれや毛玉が出来やすい場所
口の周り、耳の後ろ、わきの下、おなかから内股、お尻の周り、しっぽ、足先など、動きが激しく、体や地面とこすれやすい場所。
ブラッシングの手順は、後足→腰→胴周り→前足→首の周り→顔。後足は、まず足先をブラッシングし、だんだん足の付け根の方へ。胴周りもおなかから背中へと移動していきます。
手のひらに一握りぐらいの被毛をすくいとり、少しずつとかしていきます。毛のほつれや毛玉を見つけたら、指でよくほぐしてからブラッシングすること。仕上げは、コームできれいにとかします。
なお、皮膚の柔らかな場所や骨の出ている関節などを、金属製のブラシやコームで無理にとかすと、ペットを痛がらせたり、傷つけたりしやすいので注意してください。
デリケートな場所
顔の周り、皮膚の柔らかなおなかや内股、ひじ・かかと等の骨の出ている関節など