高速道路(SA&PA)にあるドッグランを訪ねて

愛犬と一緒に、車でちょっと遠出のドライブを楽しみたい季節になってきました。最近の高速道路は、そんな犬連れ利用客のために、ドッグランや水飲み場、排せつ物用ゴミ箱などの設備を備えたサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が増えてきています。今回は、そんなドッグラン付きSA&PAをご紹介!お出かけ前にチェックして、ぜひ立ち寄ってみてください。

2009年4月10日RSSRSS

【取材協力】

中日本高速道路株式会社 横浜支社 御殿場管理事務所
東日本高速道路株式会社 関東支社 谷和原管理事務所

富士山と箱根山系の間にある、
東名高速道路・足柄SA(下り)へ

足柄SA(下り)ドッグランの利用者に聞く

快晴の週末、首都圏から東名高速道路を西に走る。春めいて暖かな神奈川県南部を突っ切り、静岡県東部に入ると、右手前方に白雪の輝く富士山が迫ってくる。左手には箱根山系が並ぶ。少しして、御殿場インターの手前にある足柄SA(下り)に車を止める。ここは日本の高速道路の中で、最初にドッグランを開設したSAとして知られている。

駐車してすぐ、2頭の愛犬「サンタ」と「イブ」を連れた辻田さんと出会った。一緒に広いSAの東端、自然林に囲まれたドッグラン「愛犬の広場」に向かう。辻田さんは、東京都品川区の自宅から静岡県の御前崎へサーフィンに行く途中だった。

「サーフィンはほぼ毎週です。犬たちは家で留守番することも多いのですが、明日1日フリーなので、たっぷり遊んであげようと思って」。辻田さんは今まで足柄SAにドッグランがあることに気づかなかったとか。サンタとイブは、最初は慎重に、やがてリラックスして愛犬の広場に駆け出した。

すぐに、大きなバーニーズの愛犬「こだま」を連れた越村さんが入ってきた。越村さん夫妻はイチゴ狩りのため、石垣イチゴで有名な静岡方面に行くところ。「ここは、できた時からよく利用しています。人間は遊べても、犬が遊べるところはほとんどないので、助かります」。奥さんの実家が新潟なので、冬場、こだまは雪の中で遊びまわるのが大好きなのだという。

朝日がだんだん高くなり、暖かくなってきた。東に、クマと相撲を取った「金太郎伝説」で有名な金時山がそびえている。静かなので、野鳥のさえずりがよく聞こえる。東名高速道路・御殿場管理事務所副所長の加藤正人さんによれば、ここは最初、「小鳥の森」として整備された場所。静かで木々も多く、眺めもいい。近くなら、たまに愛犬と遊びに来るのも良さそうだ。

そんなことを思っていたら、愛犬「陸」とやって来た橋本さん夫妻が入ってきた。「ここはいいですね。うちは(神奈川県の)秦野インター近くなので、週に一度ぐらい、主人とこの子と3人で立ち寄ります。わたし、実家が関西なので、時々陸を連れて帰るのですが、ここから西の高速道路ではドッグランのこと、あまりきかないので、寂しいですね」。犬と暮らせば、みんなでドライブする機会も増える。家族仲も良くなる。「陸は、主人が帰ってきたらすごい歓迎ぶりで、主人もメロメロ(笑)。この子がいなかったら、多分、夫婦の会話もなかったかも」と奥さんはほほ笑み、陸の大好きなボールをけって遊びだした。

足柄SA(下り)ドッグランの誕生からこれまで

東名高速・足柄SA(下り)のドッグラン「愛犬の広場」が開設されたのは、2001年(平成13年)8月10日。この夏で丸5年になる。御殿場管理事務所の加藤さんによれば、利用客から「高速道路のSAやPAに、愛犬を自由に放せるドッグランがほしい」とか、反対に「芝生のところへ行ったら、犬のウンチが転がっていた。なんとかしてほしい」という要望が日本道路公団(現東日本・中日本・西日本高速道路株式会社)に寄せられていた。「当時、民間のドッグランがあちこちででき始めていましたので、うちでもできないかと検討し、足柄SA(下り)に最初のドッグランを作ることにしました」

高速道路をドライブ中、犬たちを何時間も車の中だけで過ごさせるのはかわいそうだ。ドッグランがあれば、愛犬連れの利用客は、安心して愛犬を休ませ、遊ばせることができる。また、ドッグランがあれば、犬連れの利用客とそれ以外の利用客を区分でき、お互いが余計な気を使わなくてすむ。日本道路公団の担当者たちは、既存のドッグランやドッグスクールを訪問して、施設の規模や仕様、管理・運営の仕方などを学び、2001年夏に開設した。開設当初、利用者は平日で10~20組、休日で40、50組。今ではそれぞれ3倍以上になっている。

その後、利用客の願いに応えて、施設の外にあった休息所を取り込み、プールを拡張。夏場は、日陰で休む人と犬、水遊びをする犬たちで大にぎわいという。3年前には、愛犬の広場で遊ぶ犬たちのフォトコンテストを実施し、好評を博した。

愛犬の広場は、無料・時間制限なしで、利用客の自主管理が原則である。中にはウンチ処理用のビニール袋と専用のゴミ箱もある。同管理事務所総務担当課長の若林明彦さんによれば、開設以来4年半あまりで、トラブルは1件もなし。「みなさん、マナーが良くて、仲がいいですね」

なお、日本道路公団では、利用客の反響の良さに力を得て、その後、東北自動車道の那須高原SA(下り)、常磐自動車道の守谷SA(下り)、中央自動車道の駒ヶ岳SA(下り)、上信越自動車道の佐久平PA、東名高速道路の上り線・足柄SAから東京方面へ少し走った鮎沢PA(上り)などにドッグランを開設していった。

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