新宿区ではひと足先に新鑑札と済票を導入。その効果は?
新宿区保健所衛生課管理係
高木 優治さん
鑑札のデザイン自由化をきっかけに取り組みを開始
1950年(昭和25年)に狂犬病予防法ができて、飼い犬は登録と鑑札の着用が義務づけられました。しかし、実際の登録頭数は民間調査の飼養頭数の半分で、鑑札の着用率は極めて悪く、厚生労働省だけでなく、こちらも何とかしたいと思っていました。ちょうど2007年3月に厚生労働省から鑑札のデザインを自由に変えてもいいです、という通達が出て、新宿区でも検討に入りました。
リニューアル効果で新規登録数と再交付希望が増加
最近、小型犬が多くなり、これまでのものは評判が良くないこともあったので、鑑札は「犬型」のものとし、済票については二回りほど小さいデザインのものを考えました。東京都23区の動物管理担当者会議で問題提起すると、新宿区と同じ鑑札と済票を採用したいという区が出てきて、2008年4月から、千代田区、中央区、港区、北区、台東区、新宿区が新デザインに切り替えました。
新宿区の畜犬登録頭数は2007年度で約8141頭(済票の交付は5882件)で、今年(2008年)度半年間で新規登録が651頭ありました。鑑札の再交付は、昨年(2007年)度59件だったのが、今年度半年でもう84件と、窓口で新鑑札に替えたいという人が増えています。
自治体発信のみでなく、ペットショップでも呼び掛けを
犬の飼い主さんは毎年増えてきているので、登録や狂犬病予防注射、鑑札や済票の着用など、何をしなければいけないかを分かったうえで飼ってほしいですね。わたしどもは、毎年1回、区の広報で訴え、また、狂犬病予防注射の定期注射期間前に行う飼い主さんへの一斉通知でお知らせしていますが、話をうかがうと、「まったく知らなかった」「ペットショップでそんなことを言われなかった」と言う方も少なくありません。区内の動物病院には新鑑札の告知ポスターを張ってもらっていますが、ペットショップのほうでも血統書を渡す時、「最寄りの保健所に届け出を」と言って、登録と狂犬病予防注射が義務であることをお客様に分かるようにお知らせしてもらいたいです。
迷子対策としても有効
鑑札と済票を愛犬につけていただければ、どこで迷子になって保護されても、当該の自治体から必ず連絡が入ります。マイクロチップも有効な手段ですが、迷子になった犬をパッと見てすぐに分かるのは、やはり、鑑札と済票です。
(初出:「よみうりペット」2009年1月20日発行号)