【取材協力】
世田谷区世田谷保健所 生活保健課衛生事業係
東京都世田谷区世田谷4-22-35
「犬鑑札」リニューアルを決断。その理由は?
世田谷保健所生活保健課衛生事業係
宮田 松利さん
殺処分される犬の減少を目指したかった
世田谷保健所が「ただのいぬ。プロジェクト」の企画展に共催の形で参加したのは平成2006年度からです。次年度(2007年度)の企画展で犬鑑札について取り上げることになり、世田谷区としても、登録・狂犬病予防注射の普及啓発、鑑札・済票の装着率向上によって、殺処分される犬の減少を目指して、「新鑑札デザイン計画」に取り組むことを決断しました。
着用しやすさにこだわって装着率アップを目指す
これまで、「小型犬には大き過ぎる」や「鑑札と済票の2枚つけるのが大変」、「鑑札が薄くて、愛犬が傷つかないか心配」という声がありました。デザイナーの方には、できるだけ小さく、また厚みを持たせて安全性にも配慮し、済票をシール式とし、鑑札の裏に張るという工夫を凝らしていただいたので、とても着用しやすくなったと思います。
世田谷区には40万世帯を超える方々が暮らし、平成19年度末現在、区内の飼い犬の登録頭数は3万801頭です。国内の犬の総数が民間推計通りで登録頭数が全体の約半数だとすれば、世田谷区には3万頭よりもっとたくさんの犬がいることが予想されます。わたしどもの願いは、いかに登録頭数を増やし、鑑札と済票をいかにつけていただくか。それに尽きますね。
鑑札の必要性と正しい知識を多くの飼い主に知ってもらうために
実は、わたし、平成20年4月に現在の部署に異動になりました。これまで犬を飼ったことがなかったので、狂犬病の予防注射は、人の伝染病予防ワクチン接種のように、生涯に一度すればいいと思い込んでいました。また鑑札と済票の装着義務があることすら知りませんでした。制度の存在を知っておられる方でも、「狂犬病って過去の話でしょ」「うちは室内飼いだから、鑑札も予防注射も必要ありません」と言われることも少なくありませんので、その辺りからいかにご理解いただくかが重要ですね。もちろん、区の広報、告知活動が大切で、愛犬の登録はしないけど、動物病院にはペットを連れて行かれる方が多いので、そこをひとつの接点として、このポスター(写真)を張っていただくなど、息長く訴えていきます。
それに、区のほうに「犬のオシッコやウンチで困っている」という苦情もまだまだ多いので、登録と鑑札は、飼い主さんたちのマナー向上とセットにして普及啓発を図っていく必要があります。
この新鑑札は世田谷区だけのものではなく、ご希望の自治体があれば、どこでも採用していただいて、日本中で使われることを願っています。