「ペットと一緒に暮らすようになって気になっていること/関心があることは何ですか」との質問に対して、1位(27.3%)「ペットの食べ物・飲み物」、2位(19.2%)は「ペットの病気」に続き、3位(13.8%)「室内の空気の質(抜け毛、清潔度など)」となったことは「空気の質」に対する関心が非常に高まっている状況をうかがわせる。5位(9.2%)の「ペットのニオイ」についても、広義に解釈すれば、「空気の質」の改善で、ある程度解決できる課題と捉えることもできる。ペットと快適に共生する上で空気の質」の向上が大きなテーマになっていると言えるのではないかと、同社では推察する。
一方で、「室内の温度・湿度管理」は3.7%しか関心を持っておらず、あまり意識されていない実態がわかった。「ペットが室内で暮らす上での適温を知っていますか」との質問をしたところ、84.3%もの人が「適温を知らない」と回答し、関心の低さを裏付ける結果となった。意外にも、ペットの飼育年数とも全く相関関係が見られず、「人が快適ならペットは大丈夫」「外でも飼えるのだから、室内はそれよりも過ごしやすいはず」という意識が根強くあるのかもしれない。また、「適温を知っている」と回答した人も、5割が「夏場は25度以下が適温」と回答するなど、やや低めの温度をイメージする傾向が見られた。
ペットの大きさや年齢に加えて個体差などもあり、一律で「これが適温」という答えがあるわけではなく、適温を知らなくても一緒に住んでいるペットの様子を見ながら、場合によってはペットに合わせて温度コントロールをしているのかもしれない。実際に、「エアコンの設定温度を、誰を優先して設定温度を決めるか」という問いに対しては、ペットを優先して室温を設定していると回答した人の61.0%が「子どもがいない」、68.9%が「飼育経験11年以上の人たち」という結果が出ている。
ペットの飼育経験が長くなるにつれ、ペットの健康管理の一環として温度環境についても気を遣い、子どもがいない人は子どもの代わりにペットに愛情を注いでいる結果、ペットの快適な空気環境にまで気を配っているのではないかと、同社では推察している。
また、「夏場に外出する際、ペットのいる室内環境をどのようにしていますか」と聞いたところ、76.0%の飼い主が何らかの暑さ対策をしており、「特に何もしていない」という24.0%を大きく上回る結果となった。 何らかの暑さ対策をしている犬の飼い主は83.4%に対し、猫の飼い主は66.5%となっており、大きな差が見られた。
対策として、最も回答が多かったのが「エアコンをつけたまま外出する(29.2%)」で、回答者のエアコン設定温度は、政府推奨の28度未満が7割を占め、特に25度以下の低温設定する割合は24.6%を占めるなど、節電以上に家で留守番するペットに対する気遣いの意識が強く、安全を見て低めの温度設定をする傾向が読み取れる。 次いで23.5%が「窓を少し開けて外出する」を対策としている。防犯上の問題はさておき、一定量の換気ができるようにしておくことは、急激な温度上昇を緩和する効果はありそうだ。3位は、「扇風機やサーキュレーターをつけて外出する」で13.2%の人が対策として挙げている。しかし、犬や猫は体から発汗しないため、扇風機では体温を下げる効果は低く、熱中症対策としてはあまり期待できない。
この結果を受けて、赤坂動物病院 副院長の柴内晶子氏は、室内でペットと暮らす上では「空気の質・清浄」に加え「温度・湿度のバランスと管理」が重要と指摘する。特に犬は、人間のように全身に汗をかく機能が発達していないこともあり、人間よりも熱中症になりやすいという。品種改良によりつくられた鼻の短い犬種(フレンチブルドッグやシーズ、ボストンテリアなど)は、呼吸効率が良くないため、特に暑さに弱いとのこと。また、柴犬、秋田犬など毛が密生している犬種も暑さには注意が必要だそう。あくまで品種・症状・個体差で適切な温度、湿度は変化するとしつつも、「夏は温度:25-28℃/湿度:50-60%くらい、冬は温度:20-23℃程を目安に」とアドバイスしている。