セミナーでは、TRVA夜間救急動物医療センター長の中村篤史氏により、誤飲事故の際はどんな処置が行われるのか、どんなものが誤飲事故につながりやすいか、食べてはいけないものなど、実際の症例を元に誤飲事故の現状が報告された。誤飲すると非常に危険なものとしては、ハムなどに巻かれたタコ糸や、毛糸などのような“ひも状”の異物が挙げられた。これらの異物が腸に入ると、最悪の場合は腸を引きちぎってしまう危険性があるとのこと。冬場や花粉の時期に出番の多い高級ティッシュも、甘みがあるためにペットが誤飲してしまいがちなものとして挙げられ、日常にある身近なものが深刻な事故につながる危険性があることが示された。
また、東京大学獣医動物行動学研究室特任助教の荒田明香氏からは、動物行動学の観点から見た誤飲につながる行動や、事故を防ぐための対処法などがレクチャーされた。 誤飲の現場を発見した際は、慌てて取り返そうとしたり声をかけたりせず、離れた場所から「おいで」と指示するなど、飼い主の冷静な対応が非常に重要とのことだった。
セミナー後半では、前半の話を受けての疑問点などをその場で解決できるよう、参加者からの質問に両氏が回答していくという形式が取られた。参加した約50名のペットオーナーからは積極的な質問が挙がり、誤飲事故からペットを守りたいという熱い思いが感じられた。
誤飲事故が増えるという年末年始を控え、ペットの生活環境に危険なものはないか、再確認してみてはいかがだろう。