昨年からパブリックコメント等に関する話題をPetwellニュースでお知らせし、また各メディアでも大きく取り上げられたのでご存じの方も多いかと思いますが、2012年、「動物愛護管理法」が改正となり、その一部が先月6月より施行となりました。制度の見直しが議論されたテーマは多岐にわたるものでしたが、今回改正されたのは、夜8時以降の展示・販売を規制することと、オークション業者、老犬・老猫ホームの登録を義務化したこと。今回の改正の経緯とポイントについて整理しました。
2012年は動物愛護管理法の改正年
動物愛護管理法は、正式には「動物の愛護及び管理に関する法律」といい、動物の虐待等の防止について定めた法律です。1999年12月に26年ぶりに改正され、2005年6月の改正時には、以後5年を目安に検討していくことが定められました。 2006年6月の施行時から5年を経て検討の時期を迎え、制度の見直しに関してさまざまな愛護団体から寄せられた要望が多岐にわたっていたことから、有識者で組織された「動物愛護管理のあり方検討小委員会(以下、委員会)」が設置され、2012年の改正年に向けて議論がなされてきました。
制度見直しが議論された主な内容
1.「動物取扱業の適正化」 |
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2.「虐待の防止」 |
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3.「多頭飼育の適正化」 |
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4.「自治体等の収容施設」 |
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5.「特定動物」 |
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6.「実験動物の福祉」 |
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7.「産業動物の福祉」 |
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8.「罰則の引き上げ」 |
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9.「その他」 |
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一部は早期に改正・施行が決まる。注目は夜間展示・販売の規制
委員会で取り上げられたさまざまな内容のうち、行政として迅速に対応でき、合意が得られるものについては、なるべく早く施行できるようにという主旨から、下記3点についての改正が2012年1月20日に公布され、2012年6月1日より施行されることとなりました。
- 犬および猫の夜間販売の規制
- 競りあっせん業(オークション市場業者など)の、動物取扱業としての登録
- 有償で動物を譲り受け飼養を行う譲受飼養業(いわゆる老犬・老猫ホームと呼ばれるもの)の、動物取扱業としての登録
これらの改正のなかで特筆すべきは、犬・猫の夜間展示の規制です。「動物が受けるストレス等に関する科学的知見はまだ少ないが、必ずしも科学的に解明されないと規制できないものではない」(動物愛護管理のあり方検討報告書)との考えに基づき、犬や猫のストレスを軽減するために改正が決定しました。この改正により、ペットショップ等で夜8時以降の犬猫の展示が禁止されました。
猫カフェ等での展示は夜間展示規制の一部適用外に
猫が自由に移動できる状態で屋内展示を行う事業者(いわゆる「猫カフェ」)より、夜間展示規制の対象から除外するべきという陳述書(*)が提出されたことを受けて、2012年5月21日、環境省は「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令」を追加公布しました。これは、猫に関して一定の展示条件を守っている場合は「午前8時から午後8時までの夜間展示規制に関し、例外措置をとる」ということを明記した省令で、条件をクリアした猫カフェ等での展示の場合は、午後10時まで可能となりました。
※陳述書の内容は、主に下記のとおりです。
- 仕事帰りの利用客が多く、夜間の展示が禁止された場合、営業に著しい支障が生じる
- 午後8時以降「カフェ」として営業するため、猫をケージ等に入れた場合、猫が活発に活動する時間帯に狭い場所に閉じ込めることになり、逆に猫のストレスが増加する
今後は議員立法による制度改正へ
今回改正された内容のほかに、早期に親元を離れることによる社会化不足(それにともなう問題行動)が懸念される「犬猫幼齢動物の販売日齢見直し」や「実験動物の福祉」など、委員会で活発に議論がなされたものの意見が分かれ結論に至らなかった内容については、今後は議員立法による制度改正が検討されることとなります。