犬のヘルニアとは?種類・症状・治療方法などをご紹介

ヘルニアとは、体内にできた裂け目やすき間から、臓器(組織)が別の場所へ飛び出る病気です。ヘルニアと一言でいっても、椎間板ヘルニアそけいヘルニアさいヘルニアなど、その発生部位によってさまざまな種類があります。ここでは犬のヘルニアについて、その種類や症状、治療方法などをご紹介します。

2008年6月2日RSSRSS

腹腔内の臓器・組織が「脱出」するヘルニアに要注意。ひどい場合には手術の必要も。

ヘルニアとは、臓器(組織)の一部またはすべてが、体内にある裂け目やすき間から脱出する状態をいい、それによって正常な側の臓器や組織が圧迫を受けて機能障害を起こしたり、体の外に脱出してしまう病気です。ヘルニアは一般に「脱腸」といわれますが、脱け出るものは腸だけではなく、脂肪や膀胱、胃、膵臓、肝臓など、種類によってさまざまです。ヘルニアには、生まれつき体内に裂け目やすき間があって起こる先天性のものと、外傷や激しい運動などで体内の裂け目やすき間が広がって起こる後天性のものがあります。犬のヘルニアには、おもに次のようなものがあります。

代表的な犬のヘルニアとその症状
そけいヘルニア
鼠径ヘルニア
足の付け根(そけい部)のすき間が広がって、そけい(鼠径)の皮下にお腹の臓器が飛び出すヘルニア。膀胱が飛び出る場合には排尿障害が現れ、腸が飛び出る場合には腸閉塞を引き起こす。
臍ヘルニア
さいヘルニア
「さい(臍)=へそ」の穴から内臓が飛び出した状態、いわゆる「出べそ」のこと。お腹に強い圧力が加わり、へその穴のすき間が広がることが原因で発生する。ひどい場合には手術が必要となる。
会陰ヘルニア 「さい(臍)=へそ」の穴から内臓が飛び出した状態、いわゆる「出べそ」のこと。お腹に強い圧力が加わり、へその穴のすき間が広がることが原因で発生する。ひどい場合には手術が必要となる。
食道裂孔ヘルニア 横隔膜にある食道裂孔という穴が生まれつき広い場合に、その「すきま」から胃が胸腔内に飛び出すヘルニア。
椎間板ヘルニア 激しい運動や老化などで椎間板に変性が生じて、髄核とよばれる物質が脊椎のクッションとなる脊髄(神経)を圧迫するヘルニア。足を引きずる、階段の上り下りを嫌がるなどの様子がみられ、放置すると、神経が麻痺して半身不随を起こす。

ちなみに、「犬のヘルニア」といえば椎間板ヘルニアを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、脱腸を起こす病気ではない椎間板ヘルニアは、ほかのヘルニアとは異なる病気です。髄核と呼ばれる物質が本来ある場所から飛び出して背骨の神経や脊髄を刺激、痛みを引き起こす様が「脱腸」と似ているため、「ヘルニア」という名前が付いています。

予防が難しいヘルニアは、早期発見・早期治療が何より大切です。

犬のヘルニアの症状は、種類や進行度によって異なります。例えば、そけいヘルニア(鼠径ヘルニア)会陰ヘルニアの場合、腸の脱出がひどく腸閉塞の症状がみられれば危険です。その場合は早急に外科手術で臓器を元にもどし、すきまをふさぐ必要があります。なお、会陰ヘルニアは、男性ホルモンの関与も考えられるので、再発予防のために去勢手術もおこないます。

椎間板ヘルニアの場合は、症状が軽い段階であれば、副腎皮質ホルモン薬などで痛みや炎症を抑える内科的治療をおこないます。症状が重く、立つことも難しい状態であれば、外科手術で病因を取り除く必要があります。椎間板ヘルニアの治療は、術後のリハビリが重要となります。

ヘルニアは、早期発見と早期治療が何より大切です。足の付け根の近くに異常なしこりや膨らみがあれば、そけいヘルニア(鼠径ヘルニア)の可能性があるので、動物病院で詳しく検査を受けるようにしましょう。また、椎間板ヘルニアになりやすいダックス犬種では、肥満を予防し、背骨に強い衝撃を与えるような激しい運動を避けるようにしましょう。くり返しになりますが、ヘルニアは予防が難しい病気です。へそや足の付け根付近にしこり、膨らみが見つかったり、足を引きずったりしている場合は、動物病院で検査を受けることをおすすめします。

それぞれの犬のヘルニアについては、こちらで詳しくご紹介しています。

それぞれの犬のヘルニアについて

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