猫の腎臓病(腎不全)とは?水をよく飲む高齢猫は要注意

猫は腎臓病になりやすい動物です。その原因として、猫は膀胱炎猫下部尿路疾患:FLUTD(猫泌尿器症候群:FUS、尿石症)など、腎臓に機能障害をもたらす病気になりやすいことが挙げられます。腎臓は一度でもこわれると元にもどらないため、早期発見・治療が重要です。ここでは腎不全を中心に、猫の腎臓病についてご紹介します。

2008年4月7日RSSRSS

腎臓の約75%以上の機能が失われれば、腎不全となります。

腎臓は、糸球体と呼ばれる毛細血管で血液をろ過し、さらに細尿管と呼ばれる組織で有用な栄養分や水分を回収し、老廃物や毒素を尿として排出する大切な機能を担っています。その腎臓が障害を受け、全体の約75%以上の機能が失われた場合に、腎不全と呼ばれる症状に陥ります。腎不全は経過によって、急性腎不全慢性腎不全の2つに分けられます。

急性腎不全とは、腎臓の機能が急激に低下する腎不全のことで、その要因として次のようなものがあります。

急性腎不全の要因
腎前性腎不全 腎臓の前にある器官(心臓など)に異常が生じて、腎臓に十分な血液が送られず、それによって腎臓の機能が低下するもの
腎性腎不全 腎臓自体に異常が生じて機能が低下するもの
腎後性腎不全 腎臓の後ろにある器官(尿管など)に異常が生じて、正常に尿が排泄できない場合に起こるもの

これらの要因によって急性腎不全を発症し、とくに尿毒症の状態(食欲が落ちて、嘔吐や下痢などがみられる)に陥った場合は危険です。命に関わる恐れもあるので、緊急に治療する必要があります。

一方、慢性腎不全は、老齢による腎臓の機能低下や急性腎不全からの移行が原因となります。高齢の猫が水をよく飲んで尿をたくさんする(多飲多尿)場合には、慢性腎不全の可能性が高いと考えられます。とくに尿毒症の状態がみられる場合は危険です。ただちに治療をおこなう必要があります。

腎不全の原因はさまざま。早期発見で兆候がみられる前に治療を。

腎不全は、ほかの病気が原因で起こります。その1つ腎炎(糸球体腎炎)は、腎臓の糸球体が炎症を起こす病気で、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)、猫伝染性腹膜炎(FIP)トキソプラズマ症などの感染による免疫反応が原因となります。腎炎(糸球体腎炎)になると腎臓の機能が低下して、やがて慢性腎不全を引き起こします。

腎不全の原因としてもっとも多いのは、尿路(尿管や膀胱、尿道)に問題が生じて、腎臓に悪影響を及ぼすケースです。たとえば尿路結石ができると、尿がスムーズに排泄されず、腎臓(の腎盂)内に尿がたまって内部組織を圧迫し、腎機能障害を起こします。また、膀胱炎などの治療が不十分で慢性化すれば、細菌が尿管を伝って腎臓に達し、腎盂腎炎を発症します。また、若い猫に腎不全がみられる場合は、水腎症といった先天的な形成不全の可能性もあります。そのほかに、塩分の取り過ぎが原因で腎不全になるケースもあります。

以上のように、猫の腎不全はさまざまな原因で起こります。しかし、腎臓機能の4分の1が正常であれば、腎不全の症状は現れません。逆にいえば、目立った症状が現れる頃には、症状がかなり進んだ状態といえます。猫下部尿路疾患:FLUTD(猫泌尿器症候群:FUS、尿石症)や腎盂腎炎、急性腎不全などは、早期に治療をおこなえば腎機能を回復させることができます。一方、慢性腎不全でこわれてしまった腎臓機能は、治療して回復させることはできません。早期発見・早期治療が重要となります。5~6歳になれば、定期的に尿検査を受け、早期発見に努めましょう。

猫の腎臓病(腎不全)については、以下をご覧ください。

猫のおもな腎臓病

腎不全の原因となる病気

糸球体腎炎の原因となる病気

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