【症状】多くはほとんど症状が現れない不顕性感染
ライム病になっても、多くの犬はほとんど症状を現さない不顕性感染です。感染した犬の約5%に症状が現れますが、最もよく見られるのは多発性関節炎によるもので、1つまたは複数の関節が腫れ、触れられると痛がります。これにともなって足を引きずる跛行が見られるようになります。このほかに発熱や食欲不振、元気の低下、リンパ節の腫れが認められることがあります。また、ときに急性腎不全や糸球体腎炎を起こし、それにともなう症状が現れることもあります。
【原因】マダニが媒介する、ボレリアという細菌の感染が原因
ライム病は、ボレリアという細菌の感染が原因で起こります。感染はこの菌を媒介するマダニに寄生・吸血されることで起こります。マダニの活動が活発 になる春から秋の初め頃にかけて発生することが多く、山林や野原などの、草が多く生えている場所など、マダニの生息している地域での感染が多いようです。なお、同じくマダニの吸血が原因 となる犬の病気としてバベシア症やQ熱などもあります。ライム病も加えたこれら3つの病気は、犬だけでなく人にも感染する人獣共通感染症(ズーノーシス、人畜共通感染症とも呼ぶ)なので注意が必要です。
【治療】抗生剤を投与する
ライム病の治療には、テトラサイクリンなどの抗生剤を投与します。腎不全や糸球体腎炎などがあれば、それに対しての治療も行います。
【予防】マダニの寄生が見られたら、駆除剤ですみやかにマダニを駆除する
マダニの寄生が見られれば、マダニ駆除剤などを使って、すみやかにマダニの駆除を行うことが大切です。
「犬のライム病」のポイント
マダニの多い山野や河川敷へ愛犬を連れて行く前には、飼い犬にマダニ駆除薬を投与するようにしましょう。もしも犬の体表上にマダニが付いているのを見つけても、無理に引き離してはいけません。強く引っ張ると口や頭部が残ってしまい、その部分が化膿するおそれがあります。マダニの寄生を見つけた場合は、動物病院で処置してもらうようにしましょう。