【症状】暗い場所で目が見えづらい、夕暮れや夜間の散歩が苦手に
進行性網膜萎縮になると、夜間や暗いところでの目が見えにくくなり、夕暮れや夜間の散歩時に不安そうな様子をしたり、物につまずいたり、溝に落ちたりといったことが見られ、暗いときの外出を嫌がるようになります。これは徐々に進行し、最終的には明るいところや昼間でも目が見えなくなり、活動性が低下したり、動作が緩慢になり、壁づたいに歩いたり、階段の上り下りがぎこちなくなります。見知らぬ場所では、この行動がさらに顕著になって現れます。しかし、視覚(視力)の低下は、徐々に進行するため、見えないことに順応し、飼い主がなかなか気づかないこともよくあります。
また、二次的に白内障を併発することがあります。犬種や進行性網膜萎縮の種類によって進行の速さや発症の時期は異なり、比較的若いうちに盲目となることもあれば、中年齢まである程度の視覚を維持することもあります。
【原因】網膜の光を受容する部分に異常が生じて起こる
進行性網膜萎縮は、遺伝性の病気です。網膜にある光を受容する部分に異常が生じることで網膜が徐々に萎縮し、最終的に多くの犬が失明してしまいます。
進行性網膜萎縮になりやすい犬種は、ラブラドール・レトリーバー、アイリッシュ・セッター、コリー、シェルティ(シェットランド・シープドッグ)、ミニチュア・プードルなど、数十犬種が明らかになっています。
【治療】確かな治療法はない。愛犬がストレスにならないように生活面の配慮を
進行性網膜萎縮には確かな治療法がありません。ただ、幸いなことに、この病気は痛みをともなわず、数ヶ月から数年の間に徐々に進行するため、目が見えない状況に適応しやすい病気といえます。したがって、進行性網膜委縮と診断されたら、愛犬がなるべく不安やストレスの少ない日常生活が送れるよう、飼い主が生活面で気をつけてあげることが大事です。
例えば迷ったり、物にぶつかったりしないよう、室内のトイレやフードボウル、その他家具などの配置を固定し、邪魔な物をなるべく置かないようにしましょう。また、散歩時には人通りの多いコースを避け、静かなコースを歩くようにしましょう。
【予防】予防法はない。遺伝的に問題のある犬は繁殖を避ける
進行性網膜萎縮は遺伝性の病気であるため、予防することはできません。ただ、次世代へ引き継がせないように、繁殖計画をしっかり立てる必要があります。