【症状】黒い耳垢がたまる、耳を激しくかゆがって、しきりに頭を振るなど
耳ダニ感染症にかかると、耳の穴の中に黒いワックス状の耳垢がたまるほか、耳を激しくかゆがり、しきりに耳をかいたり、頭を振ったりします。このため、耳の周囲にひっかき傷ができ、ときには耳血腫を引き起こすことがあります。また、この寄生虫は外耳炎の原因の1つにもなりますが、重度感染では外耳道内だけでなく、耳の周囲や首にまで感染が広がることがあります。なお、耳やその周囲のかゆみに加え、目のまわりやひじ、かかとなどにもかゆみがみられる場合には、耳ダニ感染症とよく似た病気である疥癬の可能性も考えられます。
【原因】ミミヒゼンダニ(耳ダニ)の寄生が原因
耳ダニ感染症は、ミミヒゼンダニ(耳ダニ)という、長さ0.3~0.4mmほどの小さなダニが寄生することで発症します。耳ダニは耳の中に寄生し、耳道内の上皮や組織液(体液)、耳垢などを食べて成長します。耳の中で卵を産み、孵化した幼ダニが成ダニに成長してまた繁殖を繰り返し、どんどん増殖していきます。多くの場合、すでに感染した犬や猫と接触することで感染します。
【治療】耳道内を洗浄して耳垢を除去。同時に殺ダニ剤を投与する
耳ダニ感染症の治療では、耳道内を洗浄して耳垢を除去するとともに、殺ダニ作用のある薬剤を投与します。また、細菌などによる二次感染が起きていたり、炎症が激しい場合には、これに対する治療も平行して行います。また、多頭飼いの場合は同居の犬や猫に耳ダニ感染がないかを確認し、感染している場合は併せて治療を行います。
【予防】耳ダニに感染している動物との接触を防ぐ
耳ダニ感染症を予防するには、すでに耳ダニに感染している動物との接触を防ぐことが大切になります。
「犬の耳ダニ感染症(耳疥癬、ミミヒゼンダニ感染症)」のポイント
殺ダニ作用のある薬剤には、点眼薬や内服薬のほか、スポット薬などがありますが、それぞれで投与回数や期間が異なります。耳ダニの再寄生を防ぐために、それぞれの投薬については、かかりつけの動物病院の指示を守るようにしましょう。