【症状】ほとんどが無症状で感染に気がつかない
犬の場合、コクシエラ・バーネッティに感染してもほとんどが無症状(不顕性感染)で、感染に気づかないことが多々あります。ただ、メス犬では、ごくまれに流産や死産といった症状が認められます。
【原因】感染動物の排泄物をなめたり、空気中を浮遊する菌を吸い込んだときに感染する
Q熱は、先述の通り、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetii)と呼ばれる細菌が原因で発症します。この菌は感染した動物の糞便や尿、乳汁、そして羊水や胎盤中などを通じて長期間に渡って排泄され、周囲環境を汚染します。
犬は、菌が含まれている排泄物をなめたり、空気中を浮遊している菌を吸い込んだりして感染します。また、自然界ではマダニがこの細菌の保菌者となっていることがあり、このようなマダニに咬まれることで感染する場合もあります。ちなみに日本における犬のコクシエラ・バーネッティの抗体保有率は1割から2割弱と報告されています。
【治療】抗生剤を投与する
テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗生剤を3~4週間に渡って投与します。
【予防】保菌動物であるマダニ予防をしっかりと行う
Q熱の特別な予防法はありませんが、マダニや野生動物の多くが保菌動物となっていると考えられるため、アウトドアなどで山野を訪れ、散歩させる場合にはマダニ予防を行い、かつ、動物の出産シーズンを避けると良いでしょう。また、普段から飼育環境を清潔に保ち、糞尿は道に放置しないよう心がけましょう。また、愛犬が流産や死産を起こしたときには、動物病院で診察を受けるようにしましょう。