【症状】口の中に赤い発疹、強い口臭、口をクチャクチャさせるなど
口内炎を起こすと、口の中に赤い発疹(ブツブツ)や水疱、潰瘍などができて、口臭が以前より強くなる、何も食べていないのに口をクチャクチャさせている、といった症状が認められます。口臭はきつく、犬がなめたところに強い臭いがついてしまうこともあります。血の混じったよだれをたらすことがあり、おもちゃに血がついたりすることもあります。また、口の中を見てみると、赤く腫れたり、ただれたりしている部分が分かります。
口内炎による痛みや違和感が強い場合には、食欲が低下し、体重が次第に落ちてしまうこともあります。全身性の感染や自己免疫性疾患によるものでは、発熱も認められることがあります。
【原因】異物による外傷やウイルス・細菌などの感染、歯周病など原因はさまざま
口内炎の原因はさまざまです。電気コードを噛んだことによる感電や、とがった異物による外傷で口腔粘膜を傷つけて口内炎が起こることもあれば、ジステンパーウイルス、レプトスピラなどの細菌、カンジダという真菌など病原性微生物の感染でも起こることがあります。特に、栄養不良などで体力が著しく低下しているときや重度の歯周病を併発しているときには、感染による口内炎が生じやすくなります。また、糖尿病や腎不全、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、全身性紅斑性狼瘡、天疱瘡などの自己免疫性疾患といった全身性疾患の1症状として口内炎が認められることもあります。
【治療】原因となっている病気への対症療法。歯科疾患があればその治療を行う
原因となっている病気があれば、その病気に対する治療を行います。同時に、感染を抑えるために抗生剤の投与や、炎症症状を緩和するために抗炎症剤の投与が行われます。
なお、口内炎では口の中を清潔に保つ必要があります。このため、歯周病を含めた歯科疾患があれば、その疾患を治療し、場合によっては口内炎の症状を軽減する目的で抜歯が行われることもあります。また、ラクトフェリンなどの栄養補助食品が口腔内の免疫力増強のために用いられることもあります。
【予防】歯みがきなどで口腔内を清潔に保つ
口内炎の予防は、口腔内を清潔に保つことが第一です。歯周病などがあれば、その治療を行うのはもちろん、普段からしっかり歯磨きをしてあげましょう。口内炎は全身性疾患から起こることもあります。このような病気の早期発見・早期治療ができるように、定期的な健康診断を受けることも大切です。