【症状】お尻をなめる、しっぽを追うようなしぐさをするなど
肛門嚢とは、犬が自分の分泌物(におい)を便につけて放出し、縄張り宣言をするために活用する一対の「におい袋」で、肛門の4時と8時の位置にあります。この肛門嚢に炎症が起きると、お尻をかゆがって床にこすりつける、お尻をなめる、などの動作が見られるほか、自分のしっぽを追うようなしぐさをすることがあります。症状が悪化すると、腫れて痛みが激しくなり、飼い主が患部付近を触ろうとすると嫌がる、排便が困難になるといった症状が見られるようになります。さらに悪化した場合には、肛門嚢が破れて膿や血が混じった液体がでてきます。肛門嚢炎が発症しやすいのは小型犬で、特に老犬で多く見られます。
【原因】老化などで肛門嚢を絞る力が弱まることなどが原因
肛門嚢炎とは肛門嚢の開口部が詰まったり、細菌感染を起こしたりなどで肛門嚢に炎症が起こる病気です。老化などで括約筋の収縮力が低下してくると、肛門嚢を絞る力が弱まり、内部に分泌物がたまりやすくなります。分泌物がたまってくると肛門嚢の導管や開口部が詰まるため、肛門嚢炎が起こります。また、下痢や軟便などで肛門周囲が汚れていると、細菌感染が起こりやすくなるため、それにより肛門嚢炎が起こることがあります。
【治療】肛門嚢を絞り、分泌物を排出させる
肛門嚢を絞り、分泌物を排出させます。そのうえで消毒液や抗生剤などを使用して、患部を洗浄します。
【予防】定期的に肛門嚢を絞る。
普段から肛門周辺を観察しておく肛門嚢炎の予防には、シャンプーなどの際に肛門嚢を絞ることを習慣づけ、分泌物を定期的に排出させることが有効です。普段から肛門周辺をよく観察して、正常な状態を把握していれば、肛門嚢が腫れたり、肛門周囲腺が腫瘍化したりしても、初期の段階で発見でき、治療することができます。