【症状】子犬に感染した場合は下痢がよく見られる
ジアルジアに感染した場合、健康な成犬では特に目立った症状はありませんが、子犬や比較的若い犬では、下痢(軟便〜水様性便)がよく見られます。この時の便は色がうすく、大量で、悪臭(腐った油のような臭い)をともないます。下痢は急にはじまっては治り、また再発するといったこともあれば、長期にわたって続くこともあります。また、小腸で栄養分を吸収できなくなるため、下痢が長引くと発育不良や体重の減少が見られるようになります。
【原因】ジアルジアという原虫の感染が原因
ジアルジア症の原因は、その名の通り、ジアルジアという寄生性原虫に感染することによって起こります。感染はジアルジアのシスト(外界抵抗力の強い殻に包まれた卵状のジアルジア)を口にすること(経口感染)で成立します。ジアルジアのシストは、不顕性感染を起こしている犬の便(下痢ではない便)中に排泄されます。散歩中に排泄された便を放置しておくと、雨風にさらされてシストが土や水たまりなどの周囲の環境中に散らばります。犬がこの汚染された土をなめたり、水たまりの水を飲んだりすると、ジアルジアに感染してしまいます。
【治療】抗原虫薬を投与し、同時に飼育環境も消毒する
犬のジアルジア症を治療するには、抗原虫薬を治療薬として使用します。また、再感染しないよう飼育環境を消毒(熱湯消毒やクレゾール3%溶液など)し、犬の体もこまめに洗います。また、多頭飼育の場合には、全頭に抗原虫薬の投与が必要となります。
【予防】ひろい食いをさせない。水たまりや河川の水を飲ませない、など
ひろい食いをさせない、水たまりや河川や湖などの水を飲ませない、便を放置しない、といったことがジアルジア症の基本的な予防となります。また、愛犬が感染した場合は、ケージなど犬の身の回りの物を、先述のとおり、熱湯消毒してジアルジアを死滅させ、愛犬への再感染や他の犬への感染を予防するようにしましょう。