【症状】ほとんどは無症状だが、多数寄生されると下痢や貧血などが生じる
犬鞭虫に寄生されてもほとんどが無症状ですが、多数寄生されると大腸が障害を受けて大腸性の下痢を生じて、粘液や血の混じった下痢便を少量ずつ何度もするようになります。また、犬鞭虫は吸血性寄生虫であるため、下痢だけでなく貧血も見られます。
【原因】鞭虫の虫卵が口に入って感染することが原因
鞭虫症は、感染した犬のフン便とともに排泄された虫卵が、何らかの拍子で口に入ること(経口感染)で感染します。たとえば、虫卵が混じった水たまりの水をなめたり、足などの体表に付着していた虫卵をグルーミングの際に飲み込んだりしたときに感染します。親犬から子犬へ胎盤感染などの垂直感染は起こらないため、幼い子犬が感染することはほとんどありません。重度感染では、回腸や結腸といった他の大腸部分や、ときに小腸の下部にも寄生し、症状がひどくなることがあります。
【治療】駆虫薬が有効。流行地域では定期的な駆虫が必要
鞭虫に効果のある駆虫薬を投与すれば、ほぼ駆虫することができます。ただし、鞭虫卵は抵抗力が強く、周囲環境中で数年間が感染力を持ち続けます。このため鞭虫の流行地域では定期的な駆虫(月1回など)が必要となります。貧血や下痢などの症状が重い場合には、対症療法も必要となります。
【予防】流行地域では月1回の駆虫で予防する
鞭虫症は鞭虫に汚染された地域では繰り返し感染が起こるため、風土病ともいわれるほどです。このため流行地域では、発症予防として月1回の駆虫が推奨されます。また、散歩時や犬が集まる場所では糞便をすぐに回収するようにして、周囲の環境の衛生管理に努めましょう。また、他の犬の糞便が落ちていたら、そこに愛犬を近づかせないよう注意しましょう。