【症状】主な症状は脱毛。悪化すれば化膿や出血などの皮膚病変も
アカラス症は、その特徴から全身性、四端性、局所性に分けられます。全身性や四端性では、脱毛や皮膚の赤み、フケといった症状が口や目のまわりから首へと広がり、ひどくなれば胴や四肢など全身に広がります。さらに細菌の二次感染が起これば、全身の皮膚に化膿や出血などが生じます。全身性のアカラス症の多くは若齢での発症が多く、この約半数は自然に回復します。しかし、成犬での発症では、難治性で生涯の治療が必要となります。局所性のアカラス症もまた、若齢での発症が多く、主に顔面の毛が薄くなったり、皮膚が赤くなったり、フケが増えたり、という症状が見られます。
【原因】免疫力・抵抗力の低下などによって発症する
アカラス症の根本原因であるイヌニキビダニ(体長約0.3mm)は、生後間もなく母犬から感染するといわれ、多くの犬には何の症状も起こさずに寄生しています。このニキビダニが自己免疫力や抵抗力の低下など、何らかの原因によって異常増殖すると、アカラス症になります。主に子犬に見られますが、成犬にも見られることがあり、成犬ではアトピー性皮膚炎、甲状腺機能低下症、糖尿病などの基礎疾患が、その発症に関係していると考えられています。また、膿皮症を持っている犬は、症状が悪化する傾向があります。
【治療】駆除薬などで根気よく治療する
アカラスの治療として、駆虫薬によってニキビダニの駆除を行います。ただし、完全な駆除は難しく、根気よく治療を行う必要があります。また、膿皮症などの細菌感染を併発している場合は、抗生剤などを投与します。主に成犬で、再発をくり返す場合は、発症に関係すると見られる他の病気についても、治療を行う必要があります。
【予防】子犬の頃からの健康管理と早期発見・早期治療が大切
早期発見・早期治療が重要です。アカラス症と思われる症状が見られる場合には、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
「犬のアカラス症(ニキビダニ症、毛包虫症)」のポイント
アカラスの完全な駆除は難しく、治療は長期に及ぶケースが少なくありません。症状が軽くなっても治療をやめずに、根気よく続けることが大切です。