【症状】40℃を超える発熱、重い貧血など
バベシア症に感染すると、おもに40℃を超える発熱や重い貧血の症状(息が浅く速くなる、運動するとすぐ疲れる、舌や口の中の色が以前より薄い、など)が見られ、そのほかに元気や食欲の低下、血尿といった症状が現れます。貧血がさらにひどくなると、肝臓や腎臓の機能障害を起こし、命に関わることもあります。
【原因】マダニの媒介によって、バベシアという原虫が犬の体内に入り、感染する
バベシア症は、バベシアに感染しているマダニに吸血された際に、その唾液と一緒にバベシアという原虫が犬の体内に侵入し、その赤血球内に寄生します(マダニの吸着から約48時間で感染するといわれています)。犬の赤血球内に寄生したバベシアは、次々と分裂・増殖しながら赤血球を破壊します。バベシアは西日本(とくに九州・四国の一部地域から近畿地方まで)の山野に生息するマダニに広く感染していますが、近年、東へ感染地域が広がりつつあります。なお、バベシア症と同じようにマダニが媒介する病気としては、Q熱、ライム病、日本紅斑熱、野兎病などがあります。
【治療】抗菌剤などでバベシアの増殖を抑え、症状を緩和させる
バベシアを完全に除去できる治療薬はありません。したがって、治療は抗菌剤や抗生物質でバベシアの増殖を少しでも抑え、症状を緩和させて犬の体力回復を待つという方法を採ります。回復したように見えても、無症状のまま原虫が体内に潜んでいる状態となるため(無症状キャリア)、体力や免疫力が低下すれば再発することがあります。
【予防】バベシアを媒介するマダニの感染を予防する
マダニ予防をしっかりと行うことで、バべシアの感染を予防することが可能です。たとえばマダニの多い山野や河川敷へ愛犬を連れて行く前には、マダニ駆除薬を投与するようにしましょう。また、駆除薬をマダニの活動期(春から秋にかけて)に定期的に投与することも有効な予防法となります。
「犬のバベシア症」のポイント
犬の体表上にマダニを見つけた際、無理やりに引きはがすと頭部や口が犬の体内に残るだけでなく、バベシアが注入されるおそれがあります。マダニが犬に寄生しているのを見つけた場合は、動物病院で処置してもらうようにしましょう。