【症状】ほとんど無症状。多数に寄生されると下痢が見られるようになる
瓜実条虫に感染しても、便が少し軟らかくなったり、においがきつくなったりするほかは、ほとんど無症状です。しかし、多数の瓜実条虫に寄生されると下痢(小腸性の下痢)が見られるようになります。感染後しばらくすると、瓜実条虫の体の一部(片節)が便中に排泄されます。この片節は白~淡紅色のウリの実状で活発に動くため、まるで便にウジ虫がたかっているかのように見えて飼い主を驚かせることがあります。また、片節は乾いてくると縮んで、ゴマ粒のように見え、感染している猫の肛門周囲や寝床にゴマ粒がついているように見えることがあります。
【原因】瓜実条虫に寄生されたノミを口にして感染
瓜実条虫症は、猫が瓜実条虫という寄生虫(体長15~80cm)に寄生されることで発症します。瓜実条虫はノミを介して猫に寄生します。条虫に感染されてしばらくすると猫や犬の便とともに、片節が排泄されます。片節は活発に伸縮して周囲に条虫の卵をまき散らし、このまき散らされた卵をノミの幼虫が食べると、幼虫の体内で瓜実条虫が発育し、やがて犬や猫に感染力を持つ段階にまで成長します。この瓜実条虫が寄生しているノミを、猫が毛づくろいのときなどに口に入れてしまうことで、猫は瓜実条虫に感染します。
【治療】飼育しているすべての猫に駆虫薬を投与
瓜実条虫症は、駆虫薬を投与して治療します。多頭飼いをしている場合、卵が検出されたのが1匹だけだとしても、すべての猫に駆虫薬を投与して一斉に駆虫します。同時に、再感染を予防するためにノミの予防・駆除も行います。
【予防】定期的にノミの予防・駆除を行うこと
瓜実条虫症は、瓜実条虫の中間宿主であるノミの予防・駆除により予防できます。ノミの活動が活発になる時期は、定期的なノミの予防・駆除を欠かさないようにしましょう。