【症状】初期症状の見過ごしに要注意
膿胸の初期は、40度前後の発熱や食欲・元気の低下といった症状が見られます。これらの症状は、最初のうちは気づきにくく、見過ごしてしまうことがあります。しかし、胸腔内にたまる膿の量が多くなってくると息が荒くなり、呼吸困難を示すようになります。そうなると、横向きに寝る姿勢を嫌がるようになり、やや肘をたててうずくまり、胸部を圧迫しないようにします。また、咳や脱水、チアノーゼ(歯や舌の粘膜が青白くなる)などが起こることもあります。
【原因】胸膜に細菌が感染し、胸腔に膿がたまる
膿胸は、事故や猫同士のケンカなどによる胸部の外傷、とがったものなどを飲み込んだ際に起こる食道穿孔(しょくどうせんこう:食道に穴が開くこと)、化膿性肺炎などから、胸膜に細菌が感染することで、胸腔内に膿がたまって発症します。また、別の部位に細菌感染症を起こしている場合に、その菌が血液やリンパ液を通じて胸腔に到達し、感染することもあります。
【治療】膿を取り出す処置と胸腔内の洗浄、抗生物質の投与も
膿胸の治療は、針を胸腔内に挿入して、胸腔内にたまっている膿を排泄させたり、酸素吸入を行ったりして呼吸状態を改善させます。呼吸状態が落ち着いたら、胸腔内にチューブを入れ、膿の排泄と胸腔内の洗浄を行います。同時に、原因となっている細菌に対しての抗生物質を投与します。また、脱水や様々な症状を改善するため、点滴や高カロリー食の給餌などの支持療法を行います。
【予防】ケンカや外傷の予防が大事。肺炎や気管支炎は早期治療を
膿胸の原因は様々で、完全な予防は困難です。しかし、事故や猫同士のケンカによるケガが引き金となるケースが多いため、なるべく猫を屋外に出さないように室内飼いを行うことが膿胸の予防につながります。肺炎などの呼吸器の病気が見られる場合には、長引かないように早めに治療を行うことが大切です。