【症状】お尻を気にするしぐさが見られる
肛門嚢炎になると、しきりに肛門をなめたり、お尻を床にこすりつけたりと、猫はお尻を気にするようなしぐさを見せます。また、炎症が広がって痛みが生じると、お尻まわりを飼い主に触られるのを嫌がるようになります。炎症がひどいときには発熱や元気・食欲の低下が見られることもあります。また、痛みによって排便を嫌がり、便秘になることもあります。肛門嚢の開口部(分泌口)から細菌が入って肛門嚢に感染が起こると、肛門嚢内に膿がたまる肛門嚢膿瘍になる恐れがあり、発見が遅れると、肛門の近辺に穴が開いて膿が出てきたりすることがあります。
【原因】肛門嚢の開口部が詰まって炎症が起こる
肛門嚢炎とは、肛門嚢の開口部が詰まったり、細菌感染を起こすなどして肛門嚢内に炎症が起こる病気です。老化などで括約筋の収縮力が低下してくると、肛門嚢を自分で絞る力が弱まって内部に分泌物がたまりやすくなり、たまった分泌物によって肛門嚢の開口部が詰まり、炎症が起こってくることがあります。また、下痢や軟便などで肛門周囲が汚れると、肛門嚢への細菌感染が起こりやすくなります。
【治療】抗炎症剤や抗生剤を使用したり、肛門嚢絞りを行う
炎症や感染を抑えるため、抗炎症剤、抗生剤の塗布や内服を行います。また、肛門嚢を絞ったり、肛門嚢内部にカテーテルを入れて洗浄したりして、分泌物を排出させ、内部を消毒します。
【予防】自宅で定期的に肛門嚢絞りを
肛門嚢炎は、肛門嚢を絞って分泌物を排出させることを覚えれば、家でも予防することができます。月に1、2回肛門に脱脂綿をあて、軽く絞るといいでしょう。なお、これらは肛門嚢炎になったことがなければ、行う必要はありません。
「猫の肛門嚢炎」のポイント
以前、肛門嚢炎を起こしたことのある猫の場合は、定期的に分泌物を排出させましょう。