【症状】成猫は無症状だが、子猫では症状が重くなる傾向に
鉤虫症になると、成猫では通常無症状ですが、鉤虫がたくさん寄生している場合には、慢性的な貧血やタール状の黒色便、軟便が見られます。また、子猫が鉤虫に寄生された場合は、成猫にくらべて症状が重くなりがちで、貧血やタール状の黒色便だけでなく、鮮血便や下痢、そして発育不良などが認められます。発見が遅れると、貧血や脱水が進行して命に関わることもあります。
【原因】小腸に鉤虫が寄生することで発症
鉤虫症は、鉤虫という体長1~2cmの白い糸のような寄生虫が、猫の小腸に寄生するのが原因で発症します。鉤虫の口には鋭い牙があり、これで小腸の粘膜に咬みついて、その部分を食べたり、吸血したりします。鉤虫の卵は感染した猫のフン便と一緒に排出されます。さらにこの卵が孵化(ふか)し、幼虫が猫の口の中に入ったり、皮膚から体内に侵入したりすることで、鉤虫の感染は広がります。また、妊娠もしくは授乳していた場合、胎盤や乳汁を介して母猫から子猫にも感染(垂直感染)が起こります。
【治療】駆虫薬を投与し、場合によっては輸血や輸液を行う
鉤虫症は駆虫薬の投与で治療します。貧血や脱水がひどい場合には、輸血や輸液を行うこともあります。
【予防】フン便を早めに処理して感染防止
鉤虫症の予防には、猫のフン便を早めに処理することや、定期的にフン便検査を行うことが大切です。また、幼猫が血便や下痢、軟便をしている場合や順調に成長しない場合は、すぐに検査を受けるようにしましょう。
「猫の鉤虫症」のポイント
鉤虫は人へ寄生することもありますが、寄生を受けても成虫になる前に死滅してしまいます。しかし、幼虫が皮膚を移行した場合に、ごくまれに皮膚炎を起こすことがありますので注意しましょう。