【症状】元気・食欲の低下、下痢など。重くなると神経症状を起こすことも
肝リピドーシスになると、元気がなくなり、食欲が減退してほとんど何も食べなくなるほか、眠っていることが多くなります。さらに下痢や便秘、嘔吐といった胃腸障害、体重減少や脱水といった症状が見られ、黄疸(目の結膜や口の粘膜が黄色くなる状態)が現れてくることもあります。症状が進むと、意識障害や痙攣などの神経症状が引き起こされることがあります。
【原因】ホルモン異常などから、肝臓に過度の脂肪がたまって発症
肝リピドーシスは、脂質代謝異常により肝臓に過度の脂肪がたまった状態です。脂質の代謝異常は糖尿病などのホルモン異常や膵炎、栄養バランスの取れていない食事や急激なダイエットなど、様々な原因が引き金となって起こります。また、引っ越しやよその家に預けられるなど、生活環境の急激な変化がストレスとなって食欲不振に陥ったりすると、発症することもあります。
また、肝リピドーシスは中年齢の太り気味の猫で発症しやすい傾向にあります。太り気味の猫は、3日から1週間以上食事をまったくとらない状態が続いた場合、肝リピドーシスを引き起こすことがあるので注意が必要です。
【治療】原因に応じた治療と栄養補給を行う
肝リピドーシスの治療は原因が特定できる場合、その原因に対する治療を行います。また、肝リピドーシスになると必須アミノ酸など種々の栄養補給が必要になるため、胃などにチューブを入れて強制的に栄養素を強化した食事を与える場合があります。
【予防】肥満防止を心がけ、定期的に検査を受ける
肝リピドーシスは、特に太った猫に発症しやすいため、日頃からバランスの良い食事を与え、猫が運動しやすい環境をつくり、肥満を防ぐことが予防として大切です。また、肝リピドーシスに限らず肝臓の病気には特徴的な症状がほとんどなく、早期発見が難しいため、定期的に検査を受けると良いでしょう。
「猫の肝リピドーシス(脂肪肝)」のポイント
太った猫が、数日間、何も食べないような場合や、黄疸(瞳のまわりの白目が黄色いなど)が見られる場合には、肝リピドーシスの可能性があります。日ごろから、食べているフードの量や目の色などを注意深く観察しましょう。