【症状】耳が膨らみ、気にしてかいたり頭を振ったりする
耳血腫になると、耳介の内部に血の混じった液体がたまって腫れてしまいます。腫れた耳に触れると、波動感(ぶよぶよとした感触)が感じられます。耳血腫そのものの痛みはあまり強くありませんが、耳が重たくなっているためか、耳を気にして後ろ足で耳やその周囲をかいたり、頭を振ったりするしぐさが多くなります。ただし、原因によっては、耳血腫のできる前から耳をかゆがったり頭を振ったりする動作が見られることもあります。耳血腫の治療が遅れたり、放置していたりすると、耳介の軟骨が変性し、耳の形が歪(いびつ)になってしまうことがあります。
【原因】細菌感染や耳ダニ感染による外耳炎が主な原因となる
耳血腫は、細菌や耳ダニなどの感染による外耳炎がおもな原因となって起こります。外耳炎にともなうかゆみや痛みのため、耳をかいたり、しきりに頭を振ったり、耳を何かに強くこすりつけたりしたときに、耳介の軟骨が折れ、軟骨のすき間に血の混じった液体がたまって血腫を作り出します。また、猫同士のケンカが原因となることもあります。そのほか、外耳炎や外傷をともなわなくても耳血腫が起こることがあり、この場合は、免疫系の異常が関係しているのではと考えられています。
【治療】原因となっている病気に応じた治療を選ぶ
耳血腫の治療は、耳ダニ感染など原因となる病気が明らかなときは、その治療を行います。耳血腫自体は、内部にたまっている液体を注射器で吸い出したり、外科手術によって排液を促し、耳の変形を抑える処置を行ったりします。また、耳介内部やその周囲に炎症や感染が起こっているときは、抗炎症剤や抗生物質の投与といった内科的治療を行います。治療の際は、耳を引っかかないように回復するまでエリザベスカラーなどをつけることもあります。
【予防】症状が見られたら早めの診察・治療を
耳血腫の予防としては、耳を痛がったりかゆがったりといった症状が見られたら、すぐに動物病院で診察を受けることが大切です。耳をかゆがる原因は耳ダニや細菌などの感染による外耳炎であることが多いため、検査を受けて原因を明らかにし、しっかり治療するようにしましょう。