【症状】涙が多くなり、まばたきの回数が増え、光をまぶしがる
眼瞼内反症になると、内側に反り返ったまつ毛やまぶたの被毛によって、目の表面が常に刺激されるため、角膜炎や結膜炎が引き起こされます。その結果、涙が多くなったり、まばたきの回数が増えたり、光をまぶしがったりといった症状が認められます。痛みがひどいときには、まぶたが痙攣(けいれん)したりすることがあります。また、目に感染が起こったときは、濁ってどろっとした膿性の目やにも認められます。
角膜炎や結膜炎が起こると、かゆみや痛み、違和感があるため、前足で目をこすることが多くなります。このしぐさを放っておくと自分で目をさらに傷つけ、症状が悪化し、角膜潰瘍や角膜穿孔(かくまくせんこう:角膜に穴が開いてしまうこと)を起こすことがあります。また、まぶたが内反していることで、常にまつ毛や被毛の刺激を受けていると、その部分に色素沈着(色がつくこと)が生じ、結膜や角膜の一部にシミができたように見えることがあります。
【原因】慢性の角膜炎や結膜炎が原因で起こることがある。
眼瞼内反症は、慢性的な角膜炎や結膜炎が原因で起こることがあります。慢性の角膜炎や結膜炎で痛みが強いと、まぶたが痙攣(けいれん)し、その結果、まぶたが内側に反り返り、角膜炎や結膜炎の症状をさらに悪化させることがあります。これは、痙攣性内反症/機能性内反症とも呼ばれます。
一方、猫ではまれですが、先天性の眼瞼内反症もあり、ペルシャやヒマラヤンといった短頭種に見られます。先天性眼瞼内反症は下のまぶたでよく見られます。
【治療】手術によってまぶたの形を整えるのが一般的
眼瞼内反症の治療は、通常、手術によって内側に折り返されたまぶたの形を整えます。
角膜や結膜に異常があれば、その治療も行います。痙攣(けいれん)によって内反症が起こっている場合、その原因となった慢性角膜炎や結膜炎の治療を行うとともに、一時的にまぶたを外へ反り返すという処置を施します。しかし、あまりにも眼瞼痙攣が長く続いて、まぶたが元に戻らなくなってしまっている場合には、手術でまぶたの形を整えることがあります。
一方、先天的な眼瞼内反症では、症状が軽く、日常生活上あまり問題がなければ、角膜炎が起こったときに治療するといった対症療法や経過観察が行われます。ただ、慢性的に角膜炎を起こしていたり、色素沈着が見られたり、眼瞼痙攣が認められるといった状態であれば、外科手術でまぶたの形を整えることがあります。どのような原因によるものであれ、眼瞼内反症の形成を行う場合、内反の状態や程度によって、手術が数回必要となることがあります。
【予防】目を気にするしぐさが見られたら、早いうちに動物病院へ
普段から猫をよく観察し、涙やまばたきが多くなったり目を気にするしぐさが見られたりしたら、すぐに動物病院で獣医師の診察を受けましょう。